◆普天間基地移転問題に苦しむ鳩山政権 〜時間をかけてでも広い視点でアメリカに迫ろう〜

2010年3月24日付メッセージ

厳しい選択を迫られる鳩山政権

沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題で、鳩山政権が厳しい選択を迫られ苦しんでいる。
鳩山総理は5月に決断するとして、現在では政府案決定に向けた作業が大詰めを迎えているが、私は拙速は避けるべきだと思う。

政府は3月23日に岡田外相、北沢防衛相らによる関係閣僚会議を開いて協議し、月内に政府案を米政府や関係自治体に伝える方針だと報じられている。そして現時点では、名護市などにある米軍キャンプ・シュワブ陸上部に移す案と、うるま市の米軍ホワイトビーチ沖を埋め立てて移設先とする案をまとめる見通しだとも報じられている。
しかし、いずれにしても政府案が県内ということになれば、両案とも沖縄県からもまた社民党からも反発が強いから、これでまとまるとは考えにくいし、反対闘争で流血事態になるおそれすらある。
「政治とカネ問題」で鳩山政権の支持率が低下してきているが、更に悪化することは避けられず、自民党政権時代からの負の遺産とはいえ、大変な難題であることは間違いない。

沖縄県民もマスコミも鳩山政権のマニフェスト違反として非難するであろうし、かといってそう簡単には妙案が見つかるわけではないが、ここはじっくりと腰を落ち着けて日米全体の問題として幅広く議論すべきだと思う。

鳩山政権の評価

まず、鳩山政権全体を見回したときには、私自身は、政権交代を実現した鳩山政権での成果は少なくとも3つあると思う。これは決して身びいきではなく客観的に見たつもりで、その上で言えることである。

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川辺川ダム、八ッ場ダムなど無駄な公共事業の中止を含めた見直しと社会保障の立て直しに着手した。

A

事業仕分けで政府特殊法人などを通じた税金の使われ方を国民に見せ、無駄の削減を示した。

B

沖縄返還に伴う日米の密約を検証して、一定限度ではあるが密約の存在を明らかにした。

これらは、はっきり言って自民党政権ではとうてい出来なかったことであり、少なくともこの3点は評価できる。そして何故評価できるかといえば、問題点を解明して国民に対して出来るだけ正確な事実を伝えたことだからであろう。だから普天間基地の移設問題についても、同じように問題点を解明して国民に対して出来るだけ正確な事実を伝えることが大事だ。
この観点に立って、まずは異常な沖縄での米軍の存在を明確に示すことである。

異常な沖縄での日本の負担

日本国土の僅か1%にも満たない沖縄に在日米軍の75%が存在している。沖縄県の約11%が米軍用地となっている。沖縄の中でも良い場所は米軍によって占められている。
沖縄市が泡瀬干潟を埋め立てるリゾート計画にこだわっているのも、要するに米軍に良い土地はとられてしまって、海に進出するしか土地の確保ができないという側面が強い。

こうして世界的にも異常な沖縄での駐留が続いているし、日本ほど米軍のために費用負担をしている国はどこにもない。日本が負担している駐留経費は、米軍が駐留している他の諸国の上位5国分を足しても及ばないほど多い。
まさに異常な負担を日本ばかりが負っている。この是正は必須である。

異常な負担の点は、いわゆる思いやり予算で膨大な駐留経費を負担してきたことでも指摘できる。
思いやり予算の開始当初から最近までに日本が負担した駐留経費は、だいたい毎年2千億円以上で、総額は3兆円に及ぶ。その額の多さから、日本は「世界一気前のいい同盟国」と揶揄されている。気前がよいと言うよりも、いわばむしり取られているようなこの実態を広く国民に知らせなければならない。

解明すべき点が多い移転計画

日米両政府は2006年5月、在日米軍再編「最終報告」で、沖縄の海兵隊8000人とその家族9000人をグアムに移転するとし、その総額約103億ドル(約1兆円)のうち、約61億ドル(約6000億円)を日本側が負担することで合意している。このように日本が相当の負担を負っていることは間違いないことだが、解明すべき点が多く残っている。

私も党内あるいは超党派の議連の勉強会などで、沖縄の首長や学者研究者からお話を聞かせていただいた。例えば、伊波洋一宜野湾市長は精力的に検討を重ねておられ、かなりの程度米軍の実態などを解明しておられる。
こうした検討では、海兵隊8000人をグアムへ移転するとされるが、そもそも沖縄の海兵隊の定員は1万8千人とされている。しかし実際にどれほどの海兵隊が沖縄に駐留しているかは必ずしも明確ではない。沖縄に駐機している航空機の実態からして、8000人も海兵隊はいないのではないかと言われている。

米国は、在日米軍再編計画を含めた世界戦略で、沖縄からグアムへ海兵隊を移転することをロードマップで示しているので、その着実な実行を求めていけばよいわけである。これを基本に求めていくべきだと思う。

またマスコミでは、鳩山政権が前政権下での約束である辺野古移転を実行しないことについて、米国が苛立っているとか怒っているなどとも報道されているが、これは必ずしも米国の真意ではないようだ。
米国は多様であり、米側で沖縄の現状や日本政府の立場に理解を示す識者も多い。そこで本音の部分は、怒っているふりをして、実は日本に経済的な負担をより多く要求しようというのではないかとも言われている。

普天間の移設問題で日米両政府が多少はギクシャクすることにはなろうが、だからといって日米関係がこれで冷却してしまうことではないと思う。日米の安全保障や政治経済の関係は、単に普天間問題ですべてが決まるようなものではないし、時間をかけて双方にとってより良い方向を目指して議論することは、決して悪い話ではないと思う。

日米関係のあり方

鳩山総理は5月には決断すると言うが、この際、普天間基地問題だけではなく日米地位協定の見直し、余りにも偏った日本の負担などをも強く米国に是正を求める努力を粘り強くやるべきだ。
そして沖縄返還に伴う日米の密約問題も指摘されているが、核の問題も避けて通れない。
私は、「核の傘」や「核の抑止力」は冷戦期の遺物であり、これにいつまでもこだわる必要はないし、克服していかなければならないと思う。既にオバマ大統領は、核なき世界を語り始めているではないか。日本もこれに応えて核なき世界を見据えて世界的な構想を示していかなければならない。日本こそ唯一の被爆国としてこうした構想を発信する資格があるからだ。

例えば「北東アジア非核化構想」や「非核保有国に対して核攻撃を禁止する国際条約構想」などを推進して核保有を実質的に無効化していくなどがすでに検討の遡上に上がっている。
日本もこうした提言を積極的に行うことで、米国への追随国というイメージの払拭も可能になる。そして私は、こうした幅広く日米の関係も捉えていくことが普天間問題の解決にも大事なことだと考えている。


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