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◆政治とカネ問題に思う

2010年1月22日付メッセージ

 通常国会が1月18日からスタートしたが、その直前の1月15日に石川知裕衆議院議員が逮捕され、その他小沢幹事長の元秘書2名も逮捕される事態になって、国会冒頭から政治とカネ問題で沸騰状態だ。少し整理が必要だと思う。

鳩山問題と小沢問題は別

 鳩山献金問題と小沢問題は問題の質が全く別個だ。確かに形式的には、どちらも政治資金規正法違反の虚偽記載の容疑ということでは共通している。しかし実質的に見れば、鳩山献金問題は、要するに鳩山家の内部で母親から子どもに資金が流れていたということで、それを政治資金としての資金処理をキチンとしていなかったという問題だ。
確かにトータル金額は12億円というビックリするほど高額であり、どうみても貸付金ではなく贈与だと思うが、それでもこれによって政治や行政がねじ曲げられたというものではないし、その疑いも指摘されてはいない。何でそんなに資金がかかったのか、実際には何に使われたのかという疑問は残っているが、法的な問題が発生しているわけではない。もう少し詳しく説明された方が鳩山総理のためにもなるのではないか、といった程度の疑問である。
自民党の一部からは6億円もの贈与税を追加として納税したものの、脱税ではなかったのかという非難もなされているようだが、総理自身がこの点は明確に否定しているし、指摘を受けて後から納税するということはしばしば行われていることでもあり、脱税にはあたらない。

 これに対して小沢問題は、報道によっても西松建設、水谷建設などゼネコンがからんでいて、その背景の下にダム建設や不動産取得などがなされていたのではないかという疑念が指摘されている。
もし多額の献金がゼネコンから提供されていて、それによって政治や行政がねじ曲げられたということにでもなれば、大問題であり、この違いは大きい。

自民党政権時代の問題とは違う

 しかし小沢問題にしても、かっての自民党時代の政治とカネ問題とはいささか趣を異にしている。以前は、まさに政官業の癒着であって、自民党ないしはその派閥の領袖らが政治とカネ問題に巻き込まれていた。いろんな業界から自民党の実力者たちに資金がばらまかれており、例えばその一端として2004年7月に発覚した1億円の日歯連闇献金事件が指摘できるだろう。これなどは、まさに業界と自民党との癒着の一端を示すものである。
しかし今回のは、民主党という政党の体質と言うよりも小沢幹事長という個人的な問題という要素が強い。

 民主党は幅広い政党であり、所属する議員も以前は自民党、社会党あるいはさきがけなど出身は様々である。私のように最初から民主党という議員も多い。
幅は確かに広いが、全体として政官業の癒着にまみれたり、特定の業界から多額の献金をもらって業界と癒着をしているような議員というのはほとんどいないのではないか。

 またマスコミ報道では、民主党が小沢幹事長一人に振り回されているかのような印象を与えていたり、民主党内では誰も小沢幹事長に反対できずに独裁者になっているのではないかといった批判もあるが、これは実態ではない。
確かに幹事長は重要な職責であり、与党の幹事長としての権力が強いことは間違いないことではあるが、だからといって幹事長一人で何でも決められるものでもない。

 政党という組織であるから、議員はそれぞれ様々な意見を持っているし、その思いをどのようにして政治的に活動して実現していくか、まさにこの点は政治の世界の話である。
だから一時的に例えば小沢幹事長の報告に対して、誰も異論を唱えなかった、というような報道がことさら強調されているが、あくまでその一時的な動きだけで判断されても困る。もう少し長い目で見て判断してもらわないと、判断が誤る。

 小沢幹事長自身があまり雄弁家ではないので、マスコミをも含めてその真意を探りつつ憶測でものを言っている節もある。私自身は、小沢幹事長はもっと発信しても良いのではないかも思っている。発言がないとかえって憶測を呼んで余計な誤解を受けるだけである。
しかしそれにしても鳩山政権が誕生してわずか4ヶ月程度の時間経過であり、いずれにせよ手探り状態で新しい政治を始めようとしているわけであるから、もう少し慎重に誰が何と言っているか見極めながら判断して欲しいものだ。

 また小沢幹事長の献金問題によって民主党がカネまみれになっているかのごとくとらえられたらたまらない。個人の献金問題と政党とは本来別個のものだ。

石川逮捕はやり過ぎ

 石川知裕衆議院議員が政治資金法違反容疑で国会開会の直前に逮捕される事態になっているが、この逮捕はやり過ぎだ。私のこの判断は、政治家というよりも弁護士感覚からの思いが強いかと思うが、言うまでもなく逮捕ということであれば、法律上、逃亡のおそれと罪証隠滅のおそれがなければならない。しかしどうみても石川議員は、この2つの要件のどちらも該当しないのではないか。

 まず逃亡のおそれについては、現職の国会議員であり、逃亡など考えられない。

 罪証隠滅のおそれについても、石川議員はこれまで何度も検察官の事情聴取に応じており、すでに調書も数通が作成され、関係者の調書も作成されている様子である。
何を今更罪証隠滅のおそれというのか、極めて不可解である。

 どうも新聞報道などを見ると、小沢幹事長に対して何度も事情聴取の要請をしているにもかかわらず、小沢幹事長がこれに応じないので、やむなく石川議員を含めた3人の秘書の逮捕に及んだというのが真相のように思える。

 しかし、小沢幹事長が出頭しないからといって3人の秘書を逮捕して良いという理屈は通らない。他人の対応によって逮捕されたりされなかったりすること自体、考えにくいことである。
仮に小沢幹事長に対して一定の嫌疑があり、本当に罪証隠滅のおそれがあるというのであれば、それは小沢幹事長自身の問題であり、そうであれば小沢幹事長自身を逮捕すればよいことであって、それをせずに回りの秘書を逮捕することによってジワジワと小沢包囲網を引こうとしているのはおかしなことである。
この点は、検察が極めて政治的に行動しているようにすら思える。

検察の情報漏洩問題検証、可視化法案は検察圧力ではない

 民主党は常任幹事会で「捜査情報漏えい問題対策チーム」を設置したことや、可視化法案を提出しようとしている動きを捉えて、検察に圧力をかけようとしているのではないか、という批判が報道を中心に出されている。私も、この対策チームのメンバーだということが分かっているようで、マスコミからも取材の要請が来ている。

 しかしこうした取組は、何も小沢献金問題が発生してから突然登場したものではないし、検察に対して圧力をかけようという見方は誤りである。残念ながら、マスコミはともすれば一定の予断を持って、どうしても世論をその方向にリードしようという傾向にあるようだが、しっかりと調査確認をしてほしいものだ。

 以前から、例えば法務委員会などで警察や検察の情報操作、リークがあるのではないか、問題ではないかという指摘がなされてきた。
特に重要事件の捜査が進められているケースでは、とりわけこうした指摘がなされてきたし、例えば12人全員無罪となった鹿児島の志布志事件でも指摘されていた。捜査の途中で、あたかも犯罪を犯していたのではないか、あるいは悪質性を示すような情報が垂れ流された。またオウム真理教の松本サリン事件では、第一通報者であった河野義行氏がそれこそ犯人に仕立て上げられた。これも当時の警察のリークとそれに安易に依拠したマスコミ報道によるものであったと思われる。

 もちろん、国会の委員会などでは、法務省としては情報漏えいなどはあり得ない旨の答弁がなされてきたが、質問者側からは納得できないとかリークの疑いが濃厚である旨の反論も出されてきた。この問題は、実際のところ、露骨な情報操作やリークというものを立証することは容易ではないから明確な証明は難しいのでどうしても水掛け論に陥りがちではある。

 しかし情報源は警察ないしは検察ではないか、それ以外には考えられないというケースは枚挙にいとまがない。
私自身がある記者から聞いた話では、記者としては単純に警察や検察の正式記者発表を聴いているだけでは取材にならない、いかにして捜査側と親しくなって教えてもらうかが腕だということであった。親しくなると共に、記者独自にも調査して、その結果などを捜査側にぶつけながら情報を得るということであった。

 記者からは、もしかしたら上手にリークされて利用されているのかもしれないが、記者とすれば利用されようとも他社に先駆けて情報を確保すればよいから操作されているという認識はもともと薄いということでもあった。
この点は何も私個人的な経験だけではなく、外にも同様なことを承知している人は多いであろう。いずれにせよ、捜査側の情報操作、リークなどは古くて新しい問題なのだ。

 また可視化法案は、近時、無罪事件、えん罪事件が数多く発覚するなど刑事司法の根幹を揺るがすような事件が続発していることを背景に、すでに6年ほど前から国会では法案が提出され続けていた。つまり日本では取調は密室で行われ、弁護人の立ち会いも録音録画もされてこなかった。
それがため最近でも志布志事件、氷見事件、足利事件など問題が続出したため、民主党の法務部門関係者を中心に可視化法案の策定がなされてきた。
そして民主党は、2008年、2009年と2度にわたって可視化法案を参議院に提出して、いずれも参議院では可決している。残念ながら衆議院では審議未了廃案になっていたのであるが、民主党のマニフェストにも掲げた法案であり、政権交代が実現した以上、速やかにその実行が求められている課題である。それこそ小沢事件とは何の関係もない。

 とにかく今回の小沢問題と可視化法案の提出とは関連づけれられるのは、正直言ってはなはだ迷惑というところだ。この点は、まじめに可視化法案を成立させたいと願っている議員の共通した思いではなかろうか。

小沢幹事長の説明が求められる

 小沢幹事長の説明については、十分説明されているとか不十分だとか双方の指摘がなされているが、私自身は必ずしも十分ではないと思う。
特に、小沢幹事長は1月16日の党大会で行った説明では、父親からの遺産を含めた個人のお金であるとか、検察に対して、預金していたり引き出した銀行の口座などを検察に教示しているということであったが、これだけで国民が納得するかというと難しいのではないか。

 私は、何と言っても与党の幹事長であるから国民向けの説明が大事だと思うので、説明が十分かどうかという点もあくまで一般的な国民基準で図るべきである。
小沢幹事長の説明では、土地購入の約6年前に信託銀行から引き出して自宅で保管していたということだが、3億円もの資金を自宅に保管していたのであろうか。また報道によれば現金を用意したり銀行から借金したりといささか複雑な経路で3億5千万円の土地を購入したとされるが、これが本当ならば、どうしてこうした経路をとったのかもう少し詳しい説明が必要であろう。
そうでなければ私の周辺の一般の人たちも理解していない様子だ。

 聞くところによれば、小沢幹事長は23日にも東京地検での事情聴取に応じるという。これはこれで結構だと思う。小沢幹事長にとってははなはだ面白くないことであろうと推察される。もしかしたら検察に対して敵愾心をもって事情聴取に応じるかもしれない。
しかし私のような若造が言うのもおかしいが、是非とも冷静に説明をしてほしいと願う。検察もつまらない揚げ足取りなどはやらずに堂々と質すところは質して、正しく事実確認をしてもらいたいものだ。