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◆地方自治体の裏金問題を契機に補助金のあり方を考える

2008年10月22日付メッセージ

不正経理の判明

 会計検査院が、アットランダムに選択した12道府県の全部から国の補助金を裏金にするなどの不正経理が判明した。無作為に選んだ都道府県の全部が不正経理をしていたというから驚く。この調子であれば、おそらく47都道府県全部もそうなっているのではないか、との疑いは強い。
 今回、調査の対象にならなかった都道府県では、我が自治体では不正経理はないなどといっせいに弁明が続いているが、正直言って怪しい。

 

不正経理の手口

 不正経理の手口も公表されているが、なかなか巧妙でもあるし、単なる過失ではなく完全に意図的にやっている。
 公表された手口では、年度末に補助金が余ると、コピー用紙などの事務用品を購入したことにして代金を業者に預け、補助金では認められていないパソコンなどを買う「預け金」方式がある。これは公金を民間に預けておくわけで、こんなことするから官製談合にもつながるわけだ。
 また補助事業以外のアルバイト賃金、職員の出張旅費などに充当しているケースもある。こうした裏金作りは昔からあったし、今も続いているし、何も都道府県だけではなく市町村でも同様だ。
時々発覚して摘発されると、今後はもうやりません等と謝罪を繰り返してきたが、相変わらずといった感じであきれる。例えば、2006年に岐阜県で約17億円もの裏金が明るみに出て職員約4500人もの大量処分がなされている。今回判明した金額の最高は愛知県で、不正額が3億円にもなる。

 

いい加減な内部監査

 どの都道府県も一応謝罪はしているものの、「裏金ではない。」「私的流用はなかった。」などと開き直りの姿勢がみられるから、やっぱりあまり反省していないのかなと言わざるを得ない。おそらく慣れっこになってしまっていて、ばれなければ構わない、個人的に泥棒するわけではないからといった感覚ではなかろか。こうした感覚で公金を扱われてはたまらない。
 どうしたらチェックできるか、なぜ今までは県監査委員などの内部監査では防止できなかったのか等検討すべき課題は多い。
 私の想像でもあるが、県監査委員などは名誉職であったり、県庁OBが採用されていて、いわば仲間内であるから、初めから厳しくチェックしようという気概すらなかったのではないか。監査も形骸化していたのではないか。県庁内の書類だけを形式的にチェックして業者側へのアプローチをしていなかったり、購入物品との照合をしていなかったからこそ「預け金」や架空発注を見抜けなかったのであろう。

 

チェック体制の確立

 今回の事件を契機にしっかり反省し、自治体側の意識改革を徹底することは当然のことだ。また新たなチェック体制の確立は必要であろうが、それだけでは十分ではなく、いろんな観点からの根本的な見直しが必要だ。
 考えてみれば、お役所における予算のあり方、国からの補助金のあり方こそ考え直さなければならない。お役所では「予算は使い切らないと翌年度減らされる」「余った補助金は返すより使った方が手間がかからない」というのが「お役所の常識」でもある。この常識そのものを変えなければならない。

 

予算を余らせると評価する

 予算を使い切ることが評価されるのではなく、むしろ予算を余らすことのほうがより評価されることにしなければならない。どうせ自分のお金ではなくお役所の予算で決められているから、多少無駄であっても使ってしまえということではなく、無駄と思われるものには使いませんでした、というケースには表彰するとかご褒美を与えることを考えても良いはずだ。出来るだけ予算を余らすようにすること、そしてそれがしっかりと評価される仕組みになれば、行政の無駄遣いもかなり省けるであろう。
 この点は、以前から言われていることであり、何も地方自治体だけの問題ではない。国の予算の使い方でも同様だ。国でも、各省庁は予算を使い切らないと、次年度では財務省からにらまれて予算を削減されてしまうという恐怖心が働いている。こうした恐怖心を放置するのではなく、むしろ財務省をきちんと指導監督して、余らせた省庁予算が出た場合には、むしろ省庁大臣が表彰するとか、場合によれば、総理大臣からの特別表彰などをも考えて良い。このくらいの姿勢を内閣が示せば、地方自治体の姿勢も変わるのではないか。

 

ひも付き補助金をなくす

 それからもう一つ大事なことは、国からのひも付き補助金を削減することだ。民主党は、国からのひも付き補助金をなくして地方が自由に使える一括交付金を創設しようとしている。ひも付き補助金で使い道が限定されているからこそ、地方自治体がせっせと国に内緒で裏金作りに励むことになる。しかもさしたる制裁もないから、なかなかなくならない。
私は民主党が主張している一括交付金方式であれば、こうした裏金作りは激減すると思うが、とりあえず、今の補助金のままでも、少なくとも裏金作りをしていたことが判明すれば、次年度は補助金予算削減を伴う制裁があっても良いと考える。
 一括交付金方式になれば、今回のような裏金作りに邁進することがなくなるし、「予算は使い切らないと翌年度減らされる」とか「余った補助金は返すより使った方が手間がかからない」ということもならない。
 つまりは、根本的な補助金のあり方を今回の裏金問題は提起しているのではないかと思われる。この際、民主党が提起している一括交付金を大いに宣伝する契機でもある。
 この問題を契機に大いに補助金のあり方そのものに入り込んで議論しようではないか。