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後期高齢者医療制度がいよいよ4月1日からスタートし、15日からは保険料が年金から天引きされることになった。いわゆる4.15ショックである。
この制度は2006年6月の与党強行採決で成立したものであるが、非常に分かりにくい制度設計になっていて、制度の中身、保険料水準、障害者との関連など不透明な部分が多い。
後期高齢者医療制度は、75歳以上の人が全員強制的に加入させられる医療保険制度で、いま加入している国民健康保険、共済(組合)健保等から抜け、後期高齢者医療制度に加入させられる。一定の障害者、寝たきりの人や人工透析患者は65歳以上から対象になる。
現在、75歳以上の後期高齢者は1300万人であるが、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には2500万人になると予測されている。いまの75歳以上の方が使う医療費は10兆円強であるが、人口が倍近くになれば将来の医療費も同様に増加が考えられる。
そこで、75歳以上人口がふくらんでも医療費はできる限り抑制する仕組みをつくるというのが、後期高齢者医療制度だといえる。
民主党をはじめ野党4党で制度の廃止に向けて取り組んでいるし、すでに廃止の法案も提出している。
この医療制度の問題点の主な点は以下のとおりだ。
なぜ75歳で区切るのか
75歳以上の高齢者1300万人を独立させた設計になっているが、なぜ75歳で区切るのかが明確ではない。そのため多くの高齢者から、自分たちを「後期高齢者」などと差別してろくな医療も施さずに早く死ねと言うのか、といった怒りの声が充満している。
一般的に所得が低く、病気にかかりやすい後期高齢者だけを集めて他の医療保険から切り離すことで、保険制度としては維持することすら困難な制度といえる。なぜ高齢者ばかりを集めて独立の保険制度にしなければならないのか、この基本的な点が最大の問題だ。
夫75歳で健康保険本人、妻は74歳で被扶養者というような場合、夫は4月1日以降、後期高齢者医療制度、被扶養者だった妻は国保に加入することになり、国保の保険料を支払わなければならないようになる。夫婦で異なることにもなるし、負担は確実に増える。
年齢で医療に差別を持ち込む制度は、世界にもまず例がない。結局、65歳以上を前期、75歳以上を後期として差別的取扱いをする合理的な理由はない。
負担は確実に増加
70歳〜74歳の患者負担(窓口負担)も1割から2割に、「現役並み所得者」は3割にと確実に負担ばかりは増える。しかも将来、高齢者がふえるにつれて保険料が自動的にあがるしくで、2015年には、月平均7000円になると見込まれている。また将来出生率が下がれば、さらに保険料は上がる仕組みになっている。
また保険料がアップするケース、しないケースが不明確である。政府関係者は、7〜8割程度の高齢者の保険料が下がるとの説明を行ったが、その具体的な根拠を求めると、全く不明であることも明らかになった。保険料の点は、県単位になるので政府としてもよく分からないというのが正解のようだ。
政府は、半年間だけ保険料を免除しその後は段階的に引き上げ「2年後には全額保険料を払う」という方針を示した。これ自体一種のまやかしだが、それが適用されるのもごく一部で、1300万人にのぼる75歳以上の高齢者のうち、健康保険や共済組合の扶養家族になっているたった200万人にすぎない。
保険料の徴収方法が世帯ごとから個人ごとへ変わるため、これまで保険料負担がなかった被扶養者(家族)からも保険料を徴収することになる。1300万人の後期高齢者のうち被扶養者は200万人。これまで扶養家族で、息子の健康保険に入っているという老人も保険料をとられることになる。
年金からの天引き
厚生労働省の試算では保険料は、年金収入が年間208万円の人を基準に月平均6200円(年7万4400円)だ。保険料は県ごとに決められるため、高齢者医療費の高い県では1〜2割増しの試算が出されている。この保険料は年金から天引きされてしまう。
年金についてはいまだに5000万件の年金が宙に浮いており、そのうちようやく417万件の判別ができただけであり、まだまだ闇の中である。だから支払うべき年金は正確に支払わないまま保険料だけはガッポリと天引きするというやり方で、いかにも不公正である。
保険料額は、条例で都道府県ごとに決まるが、介護保険料(全国平均4090円)とあわせると、多くの高齢者が毎月1万円を天引きされる。
月1万5000円以上の年金受給者は、年金から天引きされるから滞納はありえない。滞納が生まれるのは、1万5000円未満のわずかな年金受給者であり、低所得者ほど医療を受ける権利が奪われることになる。国民年金の老齢年金の平均受給額は47,000円。
今回の制度導入にあわせ、65歳〜74歳の年金生活者も国保料が年金から天引きになる。強制的に天引きされるから、従来あったような「分納誓約」や「納付猶予」の相談もできなくなる。
一方的な天引きは、生活困窮する高齢者を多数生み出すことになりかねない。
保険料滞納者は被保険者証の取り上げ
従来、75歳以上の高齢者は、障害者や被爆者などと同じく、保険料を滞納しても保険証を取り上げてはならないとされてきたが、今回の制度改悪により、滞納者は保険証を取り上げられ、資格証明書を発行されることになった。
要するに保険料が払えなければ、保険証も奪われる。また、保険料は2年ごとに改定されるが、後期高齢者の数が増えるのに応じて、自動的に保険料が引きあがる仕組みもつくられている。
保険料を滞納する者へは資格証明書発行でまかなおうとしているが、これまた支払強制につながる。
資格証明書が発行されると保険が効かなくなり、いったん全額自費で払う必要がある。病気で医療機関にかかると医療費が嵩んで保険料が払えない高齢者も出るが、そうなると資格証明書によってさらに医療が遠のく、という悪循環が発生する。
本来あるべき社会保障制度が低所得者を排除する仕組みとも言える。
高齢者の医療費抑制が狙い
医療保険制度を維持していくためには、お金がかかりすぎているという高齢者の医療費を抑制しようという意図が働いている。 この制度の財源は、
@高齢者自身が支払う保険料、
A国と地方自治体が拠出する税金、
B現役世代が健康保険制度を通じて分担する支援金
である。
これを受けて、高齢者の医療費に、高齢者自身や現役世代がどの程度負担しているか分からせたり、医療費が大きい地域ほど保険料が高くなるような仕組みになっていて、高齢者が病院にかかるほど保険料も値上がりする。
政府は、1980年代の「臨調行革」の時代から一貫して社会保障に国のお金を使わない政策、そして最近では経済財政諮問会議主導で医療費抑制政策をすすめてきた。83年から老人医療費を有料化し、翌84年には、健保本人の1割負担を強行し、さらに国民健康保険の国庫負担を総医療費の45%から38.5%に引下げた。97年には健康保険本人の患者負担を1割から2割に、04年には国保の自己負担と同一にするとして3割にした。
医療の質の低下が危惧
医療費抑制政策の一環としてお金のかかるような治療を避ける方向に向かわせる。高齢者を従来からあった自治体の健康診断から除外するなど、受けられる医療の差別に繋がる。
後期高齢者医療制度になっても、医療費の窓口負担は、原則1割、現役並み所得者3割で変わりはない。ただし、政府は、後期高齢者とそれ以下の世代で、病院・診療所に払われる診療報酬(医療の値段)を別建てにし、格差をつけようとしている。
これが導入されると、後期高齢者に手厚い医療をする病院・診療所ほど経営が悪化するようになり、高齢者は、"粗悪医療"や"病院追い出し"をせまられることになる。
そして後期高齢者診療においては診療報酬の包括払い制度がある。厚労省は診療報酬の包括払いを実施し、あからさまに高齢者の医療を制限しようとしている。診療報酬とは病院や診療所などでおこなう医療や検査、投薬などに対する医療保険上の支払い額だが、包括払いだと何をやっても同じ額になる。病院や診療所からすれば検査や手当などをやればやるほど赤字になる。
またこれまで約1200の地方自治体が補助をして行っていた人間ドック・脳ドックについて、ほとんど廃止になる。
障害者も負担が増加
障害者は、これまで特別に保険料を徴収されることはなかったが、無理矢理後期高齢者医療保険に加入させられ、たとえ障害者といえども保険料を徴収されることになった。
障害者福祉も破壊されかねない。
保険証が届かない
この原因は様々であろうが、国と県と市町村との連携が極めて悪いのが大きい。政府も慌てて、従来の保険証で利用できるという応急措置を取った。そして送られてきた後期高齢者の被保険者証は、1枚の薄い用紙の端にミシンの切り目も入れられていない状態で付いているため、多くの高齢者は気がつかずに捨ててしまっているというお粗末なものであった。
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老人保健と後期高齢者医療の主な変更点
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老人保健制度
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後期高齢者医療制度
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時 期
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平成20年3月まで
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平成20年4月から
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運営主体
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市町村
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広域連合(県単位)
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医療を
受ける場合
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国民健康保険や社会保険等に加入
しながら老人保健で医療を受ける。
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後期高齢者医療で医療を受ける。
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医療機関に
提示するもの
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被保険者証と
老人保健法医療受給者証(2枚)
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新たに交付される被保険者証(1枚)
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保険料
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国民健康保険や社会保険において
保険料を納付。
被扶養者に個別保険料負担はなし
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後期高齢者医療制度において保険料
を納付。加入者全員が保険料を負担
(原則年金からの天引き)
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