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◆社会保険庁改革法案成立に思う

2007年7月 1日付メッセージ

連発した強行採決

6月30日未明になって社保庁改革法案と年金時効撤廃特例法案が成立したが、様々な禍根を残したままになり、とにかく強引にこの両法案と共に、天下り規制を柱とした国家公務員法改正法案が強行採決された。
結果として、今回の通常国会で強行採決されたのは確か17件にもなったのではないか、まさに異常な国会運営であり、安倍総理のいささかヒステリックとも言える姿勢が色濃く反映しているようにも思える。

今回の通常国会の最大の焦点が年金問題であることは、おそらく与野党とも異論はないのではないかと思われるが、これほど大きな争点でありながら、安倍総理のとにかく参院選前に済ませてしまいたいとの意向が強く反映して、ろくに議論も深まらないまま、結局は与党の数の力で押し切られた格好となった。 これでは多くの国民はとうてい納得できるはずはない。

私が小国町で街頭演説していたとき、農家の方が近づいてきて「日本人はおとなしいから何とか我慢しているが、外国ならば暴動ですよ。」と言われた言葉が強く脳裏に刻まれている。
それだけ良識ある国民は怒っている。

 

原因究明こそ必要ではないか

国民が年金問題で求めたのは、もう記録の不備はないのか、なぜ問題は起こったのかを明らかにすることであり、どのようにして国民個人個人の年金保険料の未納かどうかの確認をどのようにするかなどであろう。
しかし安倍政権は真相解明を有識者の検証委員会に丸投げしたままで、こうした国民の疑問に答えようともしていない。これではますます国民が怒るのも当然ではなかろうか。
だから社保庁改革法で、社会保険庁が解体され、非公務員型の特殊法人日本年金機構ができても国民の年金不安、不満、不審は解消できないであろう。

日本年金機構は社保庁の年金業務を引き継ぎ、3年後の2010年にスタートするからまだ時間はある。せめてそれまでの間にも、政府は国民の不審など解消するような説明を尽くすべきである。

 

拙速すぎる

考えてみれば、今回の社保庁改革法案の国会提出は、年金記録不備問題が表面化する前になされたものであり、そもそも年金記録管理をきちんとしなければならないと言う当たり前の視点がないままである。
本来ならば、国会での議論やあるいは総務省の検証委員会で記録不備がなぜ発生してしまったのか、再発防止策はどうあるべきかなどの議論を十分に行ってから社保庁改革法案を審議するべきものであり、本来ならば、こうした審議をまず行うためにも法案を出し直すべきであった。
この意味からも安倍政権の強引さが伺われる。

法案が成立した以上、今後はオンラインシステムに入力され該当者が不明の5千万件の納付記録、入力されずに放置されていた1430万件の記録などについて、年金受給に結びつける作業が今後始まるが、まず常識的に見て、安倍総理が言うような1年以内で完了することはあり得ない。しかも社保庁解体で職員を大幅に減らして遂行できるとも思えない。
またぞろ民間に委託してやらせるのであろうか、私は1年とはいわずに時間をかけてでも慎重に進めるべきだと思う。もはや失敗は許されないからだ。

 

繰り返される問題点

社会保険庁では、私が衆議院議員をしていた3年前も、年金保険料を娯楽施設の建設など目的外流用していたことが問題にされたが、その防止策は相変わらずとられていない。
保険料を「年金教育・広報」などに充てることが従来通り認められており、この点は民主党から厳しき指摘をされたものの、頬被りをしたまま成立させてしまった。
「年金教育・広報」の為と称して、またぞろ箱ものを作らないとも限らない。そのうえ社保庁に群がっている多数の天下り法人の見直しや廃止にも一切手をつけていないから、この点もまだまだ今後の課題である。
しかも年金機構の職員は非公務員なのに給料は税金で賄われ、この点は郵便局の場合よりもタチが悪い。郵便局は税金が使われていなかったからだ。
そして年金機構では国家公務員法も適用されず、天下りの規制も及ばないから一体どうなることやらである。こんな看板の掛け替えのような組織が年金業務を引き継いでも国民の不満、不安、不審は続くばかりであり、特に国民年金の未納・未加入者の増加に歯止めをかけることは難しいであろう。

こうなるとやはり参院選前という戦時に議論をするのではなく、平時に落ち着いて時間をかけて議論を行うべき課題である。
この点では、今回の国会ではろくに審議もされなかったが、民主党がかねてから主張している国税庁と一体化した「歳入庁」の議論をもっと進めるべきである。
国民の誰でもどれかの年金には加入することになっていて、その保険料はいわば税金と同等であるから国税庁と一体化した「歳入庁」を設置して一括して徴収するというのはかなりの合理性がある。
社保庁と国税庁を統合した「歳入庁」を設け、保険料と税を一緒に徴収する方式になれば、組織をスリム化できるうえ、天下りも規制できるし、保険料の徴収率アップも期待できる。

いずれにしても今回の社会保険庁改革法案の強行採決は拙速に過ぎることだけは間違いないし、参院選で国民から手痛いしっぺ返しを食らうことになろう。
この点はいささか私の私的な感情も移入されてはいるが・・・

以上