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農水省の発表
農水省が最近発表したわが国の2005年度の総合食料自給率は、供給熱量(カロリー)ベースで40%ということであった。日本の食料自給率はこれで8年連続の横ばいであり、40%というのがもはや定着した感じがする。
政府が2005年3月に策定した新たな農政基本計画では、2015年度の食料自給率を45%とする目標を設定している。これはもともと2010年度までの目標を5年先送りしたものだが、このままではずるずると目標設定だけが先送りになりかねない。
食料自給率は通常、3つの表示方法があるとされている。
@総合食料自給率、 A品目別自給率、 B穀物自給率
の3つである。
この中で一般的に使われているのが総合食料自給率であり、国民が消費するさまざまな食料の自給の度合いを供給熱量ベース(カロリーベース)で示すことになる。総合食料については生産額で示す場合もあるが、カロリーベースは世界共通の指標で国際比較ができるので便利であり、最も一般的といえる。
国際比較をすれば、日本は主要国のなかで最低水準であり、このことはよく知られている。しかも以下の表にもみられるとおり極端に低いと言っても過言ではない。
2002年度のデータだが以下のとおりである。
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日本
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オーストラリア
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フランス
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カナダ
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アメリカ
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ドイツ
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イギリス
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40%
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230%
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130%
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120%
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119%
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91%
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74%
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わが国の食料自給率は1965年度には73%であったが、年々下がり続けた。その理由としてあげられているのは、コメの消費減少、畜産物や油脂類の消費増大という食生活の変化とされている。最近8年連続の横ばいは、低下傾向を食い止めるのが精いっぱいの現状を示している。
日本が輸入している農産物
自給率がなかなか上昇しないということは、日本が輸入している農産物がたくさんあるということになる。では一体、どのような農産物を輸入しているのであろうか。
これは案外知られていないのではないかと思うが、1位トウモロコシ、2位小麦、3位大豆となっている。
トウモロコシは家畜のエサ、小麦はパンや麺の材料、大豆は油やみそ、醤油の原料として使われている。これらは加工して使われるので、私たちが直接そのまま食べているというよりむしろ家畜のエサになったり、加工食品の材料になったりする穀物である。
食料自給率の向上を巡る議論
こうした食料自給率をどのように見るかについて、政府を含め一般的にはこれ以上食料自給率を下げるべきではなく、少しずつでも上昇すべきだとしている。
自民党、民主党はじめ各政党ともマニフェストなどの政策公約や政策集を見れば、どこも食料自給率の向上をうたっている。たいてい選挙前には、農業の活性化と並んで食料自給率の向上を公約にしている。
ところが実際にどうやって食料自給率の向上を図るかについては、具体的施策にはあまり芳しいものはない。残念ながら民主党も含めて、これだという具体策には乏しい気がする。
率直に言って、どうもお題目だけ唱えているようで、本気になって自給率向上を考えていないのではないか、むしろ飽食の時代であって食糧危機に関する意識に乏しいのではないかと思う。
そのせいか実際には1%上げるのも大変な状況である。
識者の中には、日本はもともと国土も狭いし、耕作地も少ないから食料自給率はある程度低下していても仕方がないとか、むしろ世界の農業国と提携して食料を生産してもらい、それを輸入すればお互いの国にとって都合がよいから無理して自給率を上げなくてもかまわないという方もいる。
例えばオーストラリアなどと食料生産提携を進めればよいとする者もいる(例えば大前研一氏)。
あるいは、総合食料自給率の向上はそもそも困難であり、国産で大半をまかなう品目を特定して議論した方が現実的だとか、可能なものは輸入元を東アジアにして、東アジア地域での自給率向上を考えたらどうかという意見もある(生源寺眞一東大教授)。
やはり食料自給率を上げるべき
しかし私はこうした考えには賛成できない。
確かにオーストラリアは農業国で生産高も大きいので、当面、同国との提携を維持し、広大な土地を利用して肉牛などの飼育を進めて、牛肉を輸入する方策自体は結構なことではある。またいきなり食料自給率が向上するとも考えにくいので、当分の間は提携が必要なことは言うまでもないが、しかしこれがいつまで続くかとなると安心はできない。
東アジア地域での自給率という考え方は分からないではないが、安定性からみればやはり疑問がある。
どんなに提携していても食料輸出国が天変地異、戦争・紛争などに陥れば、たちまち輸出がストップとなり、日本は兵糧攻めに遭ってしまう。これは北朝鮮のミサイルどころではなくなる。
全体としても世界情勢をみれば決して楽観は許されない。世界的にもいわゆる所得の格差が発生し、地域紛争、国際紛争などでもし輸入品がストップすれば、それこそ日本はお手上げになりかねない。
現在、世界の人口は約65億人と言われているが、今後、着実に増加することは間違いない。特にアジアの人口が増加することも間違いない。
中国やインドの経済成長に伴い、今後、世界の食料需給は逼迫していくことが予想される。現在は中国から大豆、ネギ、椎茸などの野菜を大量に輸入しているが、これも中国の生活水準の上昇が進めば、いつまで続くは分からない。
国連の統計では65億人のうち8億人が食べものがないために、飢えと栄養不足に苦しんでいる。もし世界が100人の村だとしたら、14人が毎日おなかをすかせて、ひもじい思いをしていることになる。そのうち3分の2以上がアジアの人たちである。
2050年には世界の人口は90億人になるといわれている。私は、現在世界紛争の種になっている石油などのエネルギー問題に替わって、近い将来には食料問題や水問題が大きな問題になると思う。ある研究報告では、海洋資源特に魚介類も捕り過ぎなどが問題になって、枯渇の危機が迫っていると指摘している。これは特に日本にとっては耳の痛い話ではある。
重要な食料、水問題
国連は、2025年には世界人口の半分が深刻な水不足に見舞われるだろうと警告している。水不足は、地下水の過剰な汲み上げが主な原因のため、見えないところで急速に進行している。世界の水の使用量の約7割は灌漑用水である。つまり、世界が水不足に直面することは、食料不足に直面することを意味する。
灌漑用水は地下水のみならず河川からもらっているので、最近では取り過ぎが指摘されている。最近は普段から川の水量が減っているという報告が散見されるが、これも灌漑用水に取り過ぎていて、ある意味では川を痛めつけているともいえる。
日本は雨が多く水不足とはいえないようだが、食料の60%を輸入に頼っている日本にとっては他人事ではない。
また、都市化が進む過程で、地表面のアスファルト化・コンクリート化などにより、水循環が失われ、排水の水質悪化や地下水涵養の減少等により水環境に様々な悪影響を及ぼしている。
熊本市は67万人の都市としては唯一、上水道を地下水に依拠しているが、やはり地下水の水位が下がってきていると報告されており、最近では大津などで涵養林を育成している。
河川の水や地下水の保全のために涵養林を育成することは大変素晴らしいことだと思うので、こうした地下水保全策はさらに推進しなければならない。
日本は石油などのエネルギーはもっぱら中東などの産油国に依存しているので、エネルギーのほかにも食料までも外国に依存するとなれば、いざというときに完全に干上がってしまう。
先進国ではどこでも食料自給率の向上を目指しており、日本だけがこれに逆行することには賛成できない。
自給率の向上を図るために
さてどうやって自給率の向上を図っていくかは簡単ではない。様々な方策の組み合わせが必要であろう。政府が力を入れているのは、学校や地域で食の大切さを学ぶ「食育」や、地元の産品を地元で味わう「地産地消」のようであるが、もちろん、これらは重要課題である。
しかしもっと重要なことは食生活そのものの見直しではないかと思う。
実は、私たちは、1人当たり1日725キロカロリーを食べ残している。と言ってもピンとこないかもしれないが、別の数字を挙げれば、食品産業(食品製造業、卸売業、小売業、外食産業)からの食品廃棄物発生量は年間約1100万トン、食品産業以外の一般家庭の調理くず、食べ残し等は年間約1000万トンとされていて合計2100万トンの食品を捨てていることになるが、日本の米は年間生産量は1000万トンに満たない。
いかに大量の食品を捨てているかが分かるし、まさに「飽食」の克服こそ重要だと思う。
身近な例でも、パーティーやレストランなどでは、実に大量の食べ残しが発生しているし、コンビニの様な場所でも発生している。
実をいうと私はコンビニはあまり好きではない。たいてい24時間営業となって、日常必要なものは揃っているという便利さはあるものの、便利さの裏側には問題点も多い。コンビニでは賞味期限が未到来でも近くなるとドンドン廃棄処分にしているので、毎日大量の食品が廃棄されている。環境面では問題点が多い。
さらに言えば、24時間煌々と電灯をつけてエネルギーを消費し、夜には子ども達がたむろしている姿もよく見かけるので、教育の面からも感心しない。
家庭でも、冷蔵庫の奥に入れたままほとんど手をつけずに、結局捨てるという実態があり、残念ながら我が家でもたまにはある。
もったいない運動
「もったいない」という運動を様々な場面で国民的に取り組むことで、結果として自給率の向上や環境面での改善につながると思う。
生産者、消費者そして食の提供者との関係の見直しも重要である。実際には外食産業などが低価格で数量が安定している輸入食材に依存しがちであって、これを少しずつでも変えていかなければならない。
消費者側のニーズに対応できる生産体制の確立が自給率の引き上げには極めて重要となるが、肝心の消費者のニーズ自体を変えていかなければならない。
これまでは外食産業という食の提供者が低価格で画一的な商品を提供し、消費者がこれを食べるし、生産者もできる限りこれに合わせるし、合わせられなければ輸入食材に依拠するという構造になっている。この構造自体を変えていかなければ、飽食の時代を変えることは難しい。
最近、農家と直結し、地元農家で取れた食材でのみ食事を提供するといった新しい食の提供を目指すレストランも出現している。つまりは農家の提供する旬の食材に合わせたメニューになっているわけである。
農家が消費者と直結することはよく見かけるが、さらに進めて農家とレストランとを直結させるわけである。こうしたレストランを行政も支援していいのではないかと思う。
行政での支援となると、従来はすぐ補助金といった発想になるが、何もお金のかかる補助金ではなく、もっと別のやり方での応援が考えられる。
例えばこうした農家とレストランとが直結した事例を紹介するということで、情報の発信による応援の仕方もある。補助金依存型ではなく農家(生産者)、レストラン、消費者を上手に繋げてあげるという応援の仕方も考えられるので、これからはいかに情報を発信していくかが決め手になるのではないかと考えている。
消費者と生産者が連携を強め、安全な地場産品を地元で消費する「地産地消」の拡大など地道な努力が求められる。そうなれば、飽食からも少しずつ脱却できるのではないかと思われる。
農業の構造改革は、高まる市場開放圧力に対応していく上でも大きな課題ではある。
農業自由化の流れがしばしば指摘されるが、だからといって効率最優先の改革は、農地集約が困難な中山間地域や小規模農家の一方的切り捨てにつながりかねないし、自給率の面からはマイナスに働く可能性もある。
むしろ小規模農家の生産物を上手に消費者に届けられるようにしていく仕組みが求められるので、その意味からも食料自給率の実態を知り、どうやって国内農産物の生産・消費を増やすかを真剣に考える必要がある。
肉類、油脂類に偏らず栄養バランスが優れた「日本型食生活」の普及推進も飽食の脱却や自給率向上には大いに役立つ。
熊本での自給率は
熊本県は農林水産県とはいうものの、カロリーベースでの自給率が62%とされている。ただし、生産額ベースでは自給率159%とされている。
農水省調査によると食料自給率が100%を上回る都道府県は北海道、青森、岩手、秋田、山形だけだ。東京都の自給率はたった1%。
都道府県単独で食料自給率の目標を掲げる動きが強まっており、群馬、埼玉、山形、福島など15県に及ぶ。熊本県でも一応の目標を掲げていて、カロリーベースでの自給率が2010年度に64%としている。
目標を立てること自体は結構なことではあるが、問題はそのための実行である。輸入食品への依存を減らし、学校給食に地場農産物を使うなど消費を拡大、地域ぐるみの取り組みを是非とも熊本県全体でも取り組んでいくべきである。
自給率向上は単に農水省が声を上げるだけではとうてい追いつかない問題であり、むしろ案外、地元の県や市町村が地産地消、ゴミ減らしなどを通じて取り組むことが重要なポイントではないかと思われる。
この意味では熊本はまだまだこれからだという気がする。これからもドンドンと問題提起を重ねていきたい。
以上
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